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白黒写真考

2008年01月29日 - 白黒写真

積丹の撮影行の白黒フィルムを現像しに「東川ダークルーム」へ。ところが冷え込む日が何日かあったため、水道が凍結している。水落としをしているのだけど、抜けきらない水が凍ってしまうのだ。さらに、作り置きしている停止液やドライウェルなども完全に氷になっていた。屋外に置いてる訳じゃない。これは当然室内での話だ。
水道管をドライヤーで暖め、ストーブを点けたままにしておいて、しばらく時間つぶしのために東川文化ギャラリーの展示を見に行く。

東川賞の収蔵作品の一部の展示をやっていた。
そこで思いがけず見た、白黒写真の圧倒的な力。
杉本博、繰上和美、田原桂一、石内都、尾仲浩二。それぞれがそれぞれのグレーと黒で描き出した作品たち。数枚ずつの展示ながらも、ぐっと写真の中の世界へ引き込む力を持っていた。
バックヤードでは次回予定されているPART2の額装作業中だった。佐藤時啓の緻密なプリントをブックマットの状態で拝見。さらには、特別に収蔵庫にも入れてもらうことが出来た。歴代東川賞受賞者の名前が書き込まれたストレージボックスが棚に整然と並べられている。須田一政、奈良原一高、古屋誠一、荒木経惟の名前も見える。テプラで打たれた無表情のプレートなのに、名前を見ただけでドキドキする。これらが温度、湿度ともに最適に保たれた部屋に、無酸性のブックマットやストレージボックスに収められて長期保存されるのだ。その中のひとつ、金村修の箱を取り出して開けてもらった。そこには全紙サイズのプリントが、ブックマットもせずに重ねられていた。展示の際のピン留めの跡の穴。端のほうのカーリング。全く生々しい限りだ。金村修の息づかいが聞こえてきそうなプリントだった。

東川賞の歴代受賞者はこちらを。東川賞の受賞式に合わせて、毎年7月最後の土日に東川フォトフェスタが開催されている。しかし、総じて町民の関心は薄い。町のお金をふんだんに使って、一体誰の何のお役に立ってるのか分からないと冷ややかに見る向きも多いのが実情だ。そう言われるのも分かる気がする。机上で考えられたイベントのためのイベントではなく、本当に写真好きが集まる場所にしたいと思う。去年までは参加する側だったけど、今年くらいからは徐々に主催側に回っていくことになるだろう。もしそうなったとき、力を借りたい写真家の方が数名いる。これを読んでくれているか分からないけど、ドキッとしていて欲しい。

そんなことを考えながら、暖まって水道の出るようになった東川ダークルームで、5本、3クールの現像を行う。今日は増感あり、使い慣れないフィルムありで、3回に分けての現像となった。いつまで経っても、これで決まりというフィルム、現像液、処方が見いだせないでいる。今さっき見た白黒との差は一体なんなのだろう・・・と現像タンクを見つめる。

乾燥を待っている間に東京の写真仲間から電話が入る。個展開催に向けて、毎日撮り歩き、多いときは一日15本も撮ってるのだと言う。現像が追いつかないため、3本用のタンクを3つ買って、時間差で現像するのだそうだ。ああ愕然。そりゃ仕事どころじゃないだろう。
それで乾燥の際の埃の付着と、カーリングに悩まされてるという話に。これはドライウェルの濃度と、乾燥させる場所の温度、それから湿度に影響するだろうと答えた。そう言いながらも自分のネガにも埃はつく。せっかくのコマがパーってこともある。
デジカメにも埃問題はつきものだけど、全くもって写真ってやつは面倒でやっかいなもんだなあとつくづく思う。その無駄にしてしまったエネルギーを他につぎ込んでやれれば、人生効率よく生きていけるのに。
「かんたん、べんり、かっこいい」そんな言葉とは無縁の世界。綺麗に撮れたって喜んでいられるうちが華か。もしくは新しいデジカメ追いかけてる方がマシ。

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飯塚達央
写真の町、北海道東川町在住の写真屋、飯塚達央。1968年大阪出身の50才、脱サラし北海道移住23年目になります。
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