根室半島のトーチカ1
2010年10月16日 - 北海道の戦争遺産

北海道の東端、つまりは日本の東の端に位置する根室半島は、かつて軍事上の重要地であった。
千島列島沿いに責めてくる米軍の上陸を想定し、旧日本軍は海岸線にいくつかのトーチカを作り上げ、防衛陣地とした。
それらは使われることなく、終戦を迎え、大半が米軍によって爆破されたが、いくつかは壊されることなく、風雪に耐え、戦後65年経った今に、その姿を残している。


崩壊が進む根室半島のトーチカの中で、もっとも原型に近い形を保っているのが、友知(ともしり)の2基のトーチカだ。
西日を浴びて海岸線の草原に佇む姿は、感動的ですらあった。
しかし、納沙布岬に向かう道路沿いから見える位置にあるというのに、立ち止まって見ようとする者はまずいない。それは見ようとしないと決して見えて来ないものだから。
自分もそのひとりだった。何度かこの場所を通ってきたのに。
壁に空けられた小さな窓が、敵に銃口を向けるためのものである。
中は3,4人入れば身動きが取れないほどの大きさ。敵からの砲撃から守るため、厚いコンクリートで覆われている。
今や目的を失った2基の四角い箱は、平和の意味を今に伝えてくれているように見えた。
北海道の太平洋沿岸にはいくつかトーチカが残っているという。
そして内陸の美瑛にも存在する。
しかも、とても有名な風景写真の撮影ポイントで、カメラのフレーミングにもよく入って来ている。
草木に覆われているので、それに気付く人はまずいない。
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