
(c)Tatsuo Iizuka
撮り鉄の帰り道に「阿寒国際ツルセンター」なるネーミングが今ひとつな施設に寄ってみた。
そこには冬のこの時期、餌を求めて丹頂がたくさん集まって来ていた。
車に置いてきたカメラを取りに戻り、しばし「鳥屋さん」の超望遠レンズの側で構えてみた。
多くの丹頂は地面の餌をついばむのに夢中だけど
たまに数羽並んで飛んでくるので、飽きない。
しかも丹頂は鳥にしては大きな個体なので、AFも効き、割と追いやすい。
何よりこの優雅な姿。
どうしてこんな大胆かつ絶妙なコントラストの色分けなんだろう。
2羽目、4羽目の頭がグレー色なのはまだ子ども。ということらしい。
少し撮ってると、居並ぶ「鳥屋さん」の気持ちが分かってきた。
飛翔する姿は見ていてほんと清々しい。
北海道/釧路市
NikonD4 TAMRON SP70-200mm F2.8 Di VC (A009)



(c)Tatsuo Iizuka
釧路湿原を離れ、オホーツクへと急いだのは
流氷が接岸しているという情報と、明日から曇りが続くという天気予報からだ。
旅も後半線に入り疲れが溜まってきて
距離的にも時間的にも躊躇したけど、今日しかないんだからと言い聞かせた。
スノーシューを履いて丘に上がるとそこには流氷の白い海原。
そして知床連山の白い峰。
日が暮れると月も上がり、花を添えてくれた。
なんという幸運。
絶景独り占め。
やはり来て良かった。
だいぶ遠回りになったけど、宿への道のりは軽やかだった。
北海道/小清水町(釧網線)
NikonD4 TAMRON SP70-200mm F2.8 Di VC (A009)
FUJI X-T2 XF 18-55mm f2.8-4

(c)Tatsuo Iizuka
C11 171号機のトラブルにより、代役としてディーゼル機関車があてがわれ、急遽DE15による牽引となった「冬の湿原号」。
SLに乗る気満々で予約取っていた身には残念だったけど、
こうしてDE15の鼻の短い側が先頭で、ヘッドマーク無し、
5両の茶色い客車を客車を引く姿を見ると、昭和の時代、国鉄時代を彷彿させ、これはこれでなかなかなもの。
これを目的に遠方からも集まっていたようで、撮り鉄はたくましい。
湿原を流れる川に沿ってS字カーブを切るロケーション。
道東のこの雄大さに圧巻。
北海道/釧路市(釧網線)
NikonD4 TAMRON SP70-200mm F2.8 Di VC (A009)

(c)Tatsuo Iizuka
上から見下ろす俯瞰が続いたので、下からサイド気味にあおってSLを撮れるポイントを探した。
加えて煙の出る登り勾配のところを。
スノーシューで結構歩いてここぞという場所をみつけた。
安全な距離もキープ。
上着を脱いで通過時刻を一人のんびり待つ。
プラスの気温で風も無くあたたかい。
空は雲一つ無く太陽の日射しが強い。
写真的に言うなら強烈な逆光。しかも黒いSLが被写体となれば黒つぶれは避けられず、
撮影のセオリーからは外れる。
それも承知の上。
ドラフト音がわずかに聞こえたあと、軽やかに築堤を駆けてくるC11。
思いの外、スピードが速い。
黒い塊から吐き出される煙。
ぎらっと輝く太陽。
もうちょっと煙が高く上がってくれたら・・・太陽とかぶって面白かったかも。
でもほぼ思い描いたイメージに近い光景。
足取り軽く帰り道を行く。

北海道/釧路市(釧網線)
Nikon D4 AF-S NIKKOR 24-70mm 2.8G ED

釧路湿原駅でSLの撮影後、根室の落石岬へと車を走らせる。
予報では晴れマークが続いてるのに、ずっと重たい雲が占めたまま。
だけどそのポイントで夕陽を狙えるのは今日しかない。
距離は片道150km。この日は日の出前からすでに150km走っていて、アクセル踏む足取りも重い。
何とか晴れてくれよ。という願いを胸に東へと。
日本のほぼ東端到着まで予想以上に時間が掛かり、車を置いて急ぎ足で丘陵を歩く。
そこには見渡す限り野生の鹿たち。
その数ざっと200〜300頭?
そいつら皆が顔を向け耳を立てて俺の動向をチェックしている。
初めて来る場所なら怖くて退散する所だったかも知れない。
でもこんな所まで来て撮らずに帰れるか。
そう思って歩くうち、鹿の眼も気にならなくなった。
息も絶え絶えにようやくたどり着いたポイント。
太平洋の大海原と線路が並行するまさに絶景撮影地。
しかも水平線の間際で雲が切れている。
ここから日没直前に太陽が顔を出すに違いない。
あとは列車とのタイミングが合うかどうか。
合え、合え。
と願ってるうちに見事太陽が顔を出し、自分の足元まで赤く染め上げた。
時計を見ると列車がまさにやってくる時刻。
そのとき「俺は持ってる!」と思った。
あとは列車。
早く来い、早く来い・・・。
ところが通過時刻を1分過ぎ、また1分過ぎて。
遅延か・・・。列車の姿が見えない。
万事休す。
そして太陽が容赦なく沈んでしまった。
列車は線路脇に大挙たむろする鹿を警戒して、停まりそうなスピードでゆっくり進んできた。
定刻より5分の遅れで。
日の消えた中を静かに去って行く姿を見送った。
上の写真と、下の列車が来た写真の時間差は3分35秒。
時間通りに列車が来てくれたなら・・・。
また宿題を残すことになった。
廃止が噂される花咲線。
悠長なことは言ってられない。また来年リベンジに。
ちなみにこの区間、1〜2時間に1本しか列車が来ません。
ローカル路線の撮影の難しいところです。
また、増えすぎて農作物や交通機関への悪影響が深刻化している
この場所に生息する鹿の駆除が近日2回にわたって行われるという報道を今日目にした。
列車ダイヤの遅延のみならず、衝突事故も度々。
車道にもいっぱい出てきて確かに危険極まりないのでやむ無しか。

ちなみにやって来たのは代走のキハ40。本来ならシルバーボディのキハ54がやって来て、
西日を浴びてサイドがぎらっと輝く・・・ってのが狙いだったのです。
北海道/根室市(根室本線・花咲線)
Nikon D4 AF-S NIKKOR 24-70mm 2.8G ED

SLは煙を吐いてこそのSL。
しかし、いつでもどこでも吐いている訳じゃなく、吐くポイントがある。
それは発車の際や、上り坂など踏ん張りどころ。
石炭を焚き、蒸気圧を高めてピストンを力強く押しだしていく。
その副産物として(?)煙が吐き出されるのだ。
「SL冬の湿原号」が走る釧路ー標茶間は大きな登り勾配がない。
そのため駅の発車を撮るポイントが狙い目となる。
カメラマンが鈴なりで並ぶ。
山陰からまず見える煙とドラフト音。
ぼっぼっぼっとゆっくり迫ってくる黒い塊には誰もが圧巻されるだろう。
正面からの迫力ある姿は文句なくかっこいい。
サイドのメカメカしい中に流れるようなフォルムも美しい。
ブラックアウトされた足回りにシルバーのロッドが輝いて実に渋い。
SLってすごい。
そしてSLの機関士はヒーローだね。


(c)Tatsuo Iizuka
車輪に傷が入って今期の運転がなくなったのは本当に残念。
来年は復活して勇姿を見せて欲しい。
北海道/釧路市(釧網線)
NikonD4 TAMRON SP70-200mm F2.8 Di VC (A009)
FUJI X-T2 XF 18-55mm f2.8-4


(c)Tatsuo Iizuka
別寒辺牛(べかんべうし)湿原って耳慣れない地名ですね。
カキで有名な厚岸のすぐそばに広がる湿原で、
直ぐ脇を国道が通ってるにもかかわらず
水鳥が多く居たり、カヌーが出来たり、ネイチャー派には知られた場所のようです。
それともう一つは撮り鉄の撮影ポイントとしても有名で、
国道の法面というか小高い丘というか小さい山の、まあ急な斜面にいくつか道筋が出来ていて
それを無理くり登ると、湿原を行く列車が見て取れるというものです。
斜面には、ノーマルヒル・ラージヒルのように段階があって、高く上がれば見晴らしも比例して良いのでしょうが、
降りることを考えると私にはノーマルヒル(1枚目)、そのもっと下(2枚目)が精一杯。
しかも次の列車まで40分ほどノーマルヒルの狭い足場で過ごしたのは、
高所恐怖症の身にはなかなか辛いものがありました。
真っ暗な内にホテルを出て、次々トラックにあおられながら1時間以上車を走らせ、
日の出前に斜面を登り、カメラを構え。
しかし望んでた太陽は見えず。
鉄道趣味というのもなかなか労力がいるものです。
でもね、まだかなそろそろかな・・・と恋い焦がれた(?)お相手、いや列車がカーブの先に見えた時の胸のときめきったら・・・。
北海道/厚岸町(根室本線)
NikonD4 TAMRON SP70-200mm F2.8 Di VC (A009)


(c)Tatsuo Iizuka
釧路駅を出て、標茶駅で折り返す「SL冬の湿原号」だが、標茶駅で方向転換する「ターンテーブル(転車台)」がないため、復路は先頭のSLがバック運転となる。
もともとタンク式のC11は、全長が短いため現役当時からバック運転はお手の物だった。(らしい)
そうは言っても機関車の顔が見えない復路は、見た目の格好良さがぐっと落ちてしまう。
正面がちに撮るよりも、サイド気味に捉える方がいいように思うけど
なにせ初めての沿線で、良いポイントがなかなか見つけられない。
一枚目の写真を撮ったあと、急斜面を急いで登って木の間から撮影。
駅に停車していたのでギリギリセーフ。
しかし、降りるのが怖かった。
北海道/釧路市(釧網線)
NikonD4 TAMRON SP70-200mm F2.8 Di VC (A009)

(c)Tatsuo Iizuka
まるまる一週間、2/6~2/12まで道東に鉄道写真の撮影に行ってきました。
日の出前から日没まで、時には山に登り、道路の法面に上がり、斜面で踏ん張り、雪原を延々歩き、
太陽の様子とダイヤを見ながら車を走らせ・・・
なかなかハードな日々ながらも充実した一週間でした。
一番の目的のSL C11 171号機牽引の「SL冬の湿原号」は、車輪に規格外のキズが入り
2月10日から運行できなくなってしまうというトラブルに。
チケットを予約してたのに、久しぶりのSL乗車は叶わず終いになってしまったのは
非常に残念・・・でしたが、撮影の方はバッチリ。
トータル2000枚ほど撮影してきた中から
しばらくこのブログにアップしていきたいと思います。
ひたむきに走る列車たちの姿から、道東の「果ての風景」の空気感を感じてもらえたらと思います。
一枚目は、釧路湿原を見下ろす絶景ポイント。
蛇行する釧路川に沿ってくねくねとレールが敷かれています。
遠くから聞こえる汽笛。
カーブを抜けて見えた煙に感動です。
北海道/釧路市
Nikon D4 TAMRON SP70-200mm F2.8 Di VC (A009)






(c)Tatsuo Iizuka
団地の中に存在する、とっくりのおばけ。
なんだか分かります?
子どもの頃はその異質さがちょっと怖かったような。
給水塔って書けば、まあ何てことの無い、合理的な建造物であることが判明しますね。
上の階の蛇口からも水が十分出るように、高いところに水を溜めて圧をかける。
そんなシステムですが、ポンプの能力が上がって今のマンションなんかには見なくなりましたね。
ここの給水塔は、昭和43年くらいからここに立ってるらしいです。
僕と同い年。
どうりで古ぼけた姿格好。いたわりたくなります。
高度成長期に日本列島のあちこちに作られた「団地」。
そこに水道を供給する役割を与えられた給水塔。
日本中に点在してるらしいですから、貴方の暮らす街にもありますかね?
北海道にはないでしょうね。やっぱり凍るから。
我が国には「日本給水党」
ってのも存在するらしいですよ。ぐぐってみてください。
大阪/堺市
LEICA X-E







(c)Tatsuo Iizuka
大阪の乗り鉄&撮り鉄のラストは水間鉄道。
貝塚から水間寺までの5.5kmの小さなローカル路線。
5.5kmに10もの駅があって、駅を出て加速したらすぐ次の駅が見えてくる。
まるでバスのような路線だ。
バスなら乗降客がいなけりゃ通過するけど、電車なので律儀に誰もいない駅に停まっていく。
まあ全然急いでるわけじゃないので一向に構わないのだけど。
車両は元東急電鉄のステンレス電車。
業務用シンクのようなクールフェイス。
20分ほど揺られた終点の先には水間観音。
狭い参詣道を歩いてくと、小学校の遠足を思いだした。
ここに来たわけじゃないけど、遠足に行くような大阪の田舎ってこんな感じだったよなあ。
北海道にはない瓦屋根の家並みにもきゅんとなる。
大阪/貝塚市(水間鉄道)
Leica X-E







(c)Tatsuo Iizuka
大阪の南を今も走るチンチン電車。
阪堺電車。
下町を走る阪堺線(通天閣のある恵美須町ー我孫子道)と、「ちょっとええとこ」を走る上町線(天王寺駅前ー浜寺公園)の2つの路線がある。住吉駅で合流するのだけど。
堺市の南、終点浜寺公園まで乗ると約1時間の旅。料金は一回なんと210円。
庶民の足として、あるいは高級住宅街のハイソな方たちにも愛されてますね。
最近は2両編成の新型車両の導入もあって、旧型車両になかなか出会えないようでちょっと残念。
だけど乗ってしまえば、楽しさは変わりなし。
住宅の軒先を行ったと思うと、道路に出て車と一緒に走り、赤信号で停まり、青信号で出発−。
僕にとってなじみ深い天王寺駅前は、再開発であべのハルカスやキューズモールなど最先端な町並みにすっかり変貌を遂げて、チンチン電車の軌道も駅も新しくしているところ。
喫茶スワンは、昔からあるなあ。この場所に。
(「あべのスキャンダル」はとっくにないですよ)
おしゃれなアパレル店の隣が堂々とラブホテルなのは相変わらずで、微笑ましい天王寺・阿倍野でした。
大阪/阪堺線
Leica X-E
103系 forever
2017年02月01日 - 鉄道のある風景







(c)Tatsuo Iizuka
出雲のあと実家のある大阪・天王寺で数日過ごした。
ここでも鉄。
僕が物心ついた時には走ってたお馴染みの103系が、ついに環状線・阪和線から引退間近だと知り
待って、撮って、乗ってきた。
入れ替わりが進んでて運用が分からず、
しかも近畿地方にも大雪をもたらした寒波に当たって、ホームで待つのは寒かった・・・。
デビューから50年以上。首都圏ではとっくに全滅した103系も、最後の砦、大阪の2路線から消え去るという。
環状線と言えばオレンジ一色の。阪和線は青一色の。
これ以上無い分かりやすさ。
四角い箱に、長方形の窓をつけただけみたいなシンプルさ。
細窓車なんかは「あんた装甲車?愛想無しにもほどがあるで」
と突っ込みたくなるデザイン。
改造を重ねて原型は留めてないけど、大阪の町に合う電車だよなあ。
昭和から平成。
国鉄からJR。
時代の変遷を越えて走り続けた車両がまたひとつ消えていく。
一番下の写真は阪和線の美章園駅にて。
カーブの先を立体交差するのが近鉄南大阪線の河堀口駅。
ここが僕の生まれ育った場所。
ホームからは、通った中学も高校も見えた。
大阪/環状線・阪和線
SONY RX100
超解像ズームや、デジタルズームでRX100(1型)でもここまで撮れた。