
今最大の懸案事項、東京での写真展のプリントを終え、セレクト、レイアウトを決めました。
セレクト、レイアウトといった構成が写真展の大きな要素なのですが、自分の写真、自分のことって分からないものです。どれだけ練ってみても完成形にはならないだろうし、キリがないので、自分の直感を信じてみることにします。写真展の会場にお越しいただいた方には、飯塚の言いたかったことの僅かな片鱗だけでも感じてもらえたらと思います。言い訳がましいのですが、全てを表すことは不可能なのです。
さて、この小さなレイアウト図ではなんだか良く分からないでしょうが、全容としましては全倍5点、24×20インチ10点、16×20インチ30点の計45点です。2部構成の1部が風景。2部が6×6で撮ったスナップ的なもの。その2つで「カムイミンタラ」北海道を表しています。
「カムイミンタラ」というのはアイヌ語で「神々の遊ぶ庭」と訳されることが多いようです。狭義には大雪山の高山植物の花畑を指すのですが、我々はその庭先で間借りしている住民だと捉えることも出来ます。大いなる自然と人間がとても近い距離で共存しているのが北海道の特徴です。日々の暮らしと、時には神々しさを感じる自然現象。それらを写しとりました。
撮影はカラーポジ、白黒フィルム、デジタルカメラの混在で、出力はピクトランに顔料インクジェットプリンターによるデジタルモノクロームプリントです。全倍出力の5点はEOS20D、KISSによるものです。820万画素を大伸ばしするとどうなるか。評価を下して下さい。
写真展は4月17日から始まります。

リコーからコンパクトデジカメGX100の発売が発表になりましたね。GX8の後継機ながら見た目、サイズがGRデジタルっぽい。(CAPLIOのロゴはいらなかった)
35ミリ換算で24ミリ~72ミリとおいしいところをカバーしてますね。
面白いのが液晶ビューファインダーを外付けできること。しかもこれが角度可変で、真上から覗き込めるようになっている。視野率もきっちり100%。
どうやら、スクエアフォーマットでも撮れるらしいし、ハッセルのように頭を下げてお辞儀するような格好で撮れるカメラということのようだ。
これは面白い。デジタルのスクエア写真が今年のトレンドになること間違いない。リコーはそういう仕掛けが上手いなぁと感心する。
あとは写りがどうなのか?単焦点レンズのGRデジタルと同等とは行かないだろうが、逆に周辺の描写が落ちて、中央部だけシャープ。なんてことならむしろ歓迎なんだけど。
4月20日の発売が待ち遠しいゾ。

上富良野にて
更新が滞ってしまいました。雪解けで廻りが慌ただしくなるのに引っ張られるように、にわかに忙しくなってきました。いろんなことで頭がいっぱいになってしまっていました。
今日で3件ほど懸案事項をクリアし、つかの間ホッとしたところです。
撮ってるだけでお金になればいいのですが、デザインが絡んで来たり、キャッチコピーを考えたり、広告の打ち方を考えたり、印刷したり、取材して文章書いたり、何屋さんか分からないくらいです。そういうのも嫌いじゃないのですが、専門じゃないので時間が掛かってしまいますし、すぐに頭がパンクしてしまうのです。
打ち合わせとプレゼンと少しの撮影。それからそれから東京展の制作で、手いっぱいのこのごろです。
頭痛、肩こり、腰痛ですが、元気にしとります。

美瑛に新しく出来る宿にて
気温がどんどん上がって来ている。雪解けが進むのに合わせて、どことなく気ぜわしい。
春になると北海道人も皆、長い冬眠から目覚めるからだ。
農家の友達はビニールハウス回りの雪かきに精を出している。
また知人3人が、それぞれ新しく店を構える。
一軒は喫茶。一軒はレストラン。一軒は宿屋。
共通項は皆、客商売。接客業。そしてハーフビルド。内装などは自分でやりましょうということだ。この辺りでは壁に塗る珪藻土が非常に売れているらしい。
冬の間、黙々と内装やって、雪解けから一気に外廻りの工事をやってのけようとしている。オープンは目前。稼げる時期は半年もないから、工期の遅れは命取りになりかねない。せっせ、せっせと作業をこなしている。
仕事辞めて、借金背負って、地面買って、箱もの作って、お客さんにサービスして、家族養って。凄いなあ、人間のやる気って。
自分の居場所は自分で作っていくしかない。か。
俺も頑張ろ。
木肌
2007年03月20日 - EOS KISS DN
雲竜
2007年03月19日 - EOS KISS DN
Caplio&GR DIGITALフォトコンテスト展
2007年03月19日 - 写真展情報
2007年3月22日(木)/23日(金)/24日(土)の3日間、東京銀座のリコー本社事業所2F i-salonにて「Caplio&GR DIGITALフォトコンテスト展」が行われます。
一般ユーザーからのフォトコンテスト応募作品の展示と、プロカメラマンの作品が展示されるそうなのですが、そのプロカメラマンの方に、ボクの写真が2点飾られることとなってます。
あんなちっちゃなボディーで撮ったとは思えない、広大な北海道の風景写真です。お近くの方は足をお運び下さい。
詳細はhttp://www.ricoh.co.jp/dc/capliolife/appreciation/exhibition/まで。
ちなみにプロカメラマンの作品はここからセレクトされたようなのでこんな人やあんな人の写真が見られるということでしょう。う~ん、見に行きたい。旭川の銀座通り商店街なら近いのだけど・・・。
一般ユーザーからのフォトコンテスト応募作品の展示と、プロカメラマンの作品が展示されるそうなのですが、そのプロカメラマンの方に、ボクの写真が2点飾られることとなってます。
あんなちっちゃなボディーで撮ったとは思えない、広大な北海道の風景写真です。お近くの方は足をお運び下さい。
詳細はhttp://www.ricoh.co.jp/dc/capliolife/appreciation/exhibition/まで。
ちなみにプロカメラマンの作品はここからセレクトされたようなのでこんな人やあんな人の写真が見られるということでしょう。う~ん、見に行きたい。旭川の銀座通り商店街なら近いのだけど・・・。
窓に咲く花
2007年03月18日 - EOS KISS DN
白き峰
2007年03月17日 - EOS KISS DN

今朝は予報に反して曇り空だったが、やがて抜けるような青空になった。
そこで旭岳のロープウェイで上の姿見駅まで上がってみることにした。スノーシューで散策したのち、旭岳の白い峰が夕陽に染まるところを撮りたいと思っていた。
これまでもロープウェイ乗り場までは何度か来たが、山が見えず、上に上がったことがなかった。
今日はどうだろうと、乗り場まで来てみたら、丁度雲の合間から旭岳がはっきり見えた。
良しと、往復のチケット1800円を買い、スキーヤー、スノーボーダーにまみれてロープウェイに乗車した。
わずか10分の乗車だが、下りる間際になってグレーの空になった。どうやら雪雲の中に入ってしまったようだ。下車すると強い雪が降りしきって辺りは真っ白だった。
落胆しながらもそのうち止むことを期待し、待合室で持って行った文庫本を読んでいた。
しかし今ひとつ頭に入らず、時間つぶしにも限界を感じていた。そろそろ1時間半が経っていた。
一度もカメラを出さずして帰るのも、ロープウェイ代金がもったいないなと思いながら、外に出た。相変わらず雪が強く降り、右も左も真っ白で、方向に検討がつかない。冷たくなった頬に当たる雪粒も痛いくらいになってきた。
しかし、真っ白い世界のなかで太陽が光っているのが見える。もしやと思い、もうしばらく我慢して立っていた。間もなく雪だるまになりそうだった。
するとどうだろう、左の空に淡い青色が差してきたと思った途端に、雲がみるみる消えて行き、大雪山系の主峰・旭岳が青空の向こうにその勇姿を見せてくれた。
デジカメで約10カット。ポジで4カット。時間にしてわずか5分の出来事だった。スノーシューを履いて斜面を駆け上ってみたが、真っ白い吹雪の世界に吸い込まれてしまった。
興奮冷めやらぬままに待合室に戻り、1時間粘った。するとまた同じ兆候があり、カメラを背負って外に出た。今度は3分間、青空と旭岳を望むことが出来た。
さらに1時間待った。西日が差すのを期待したが、しかし願いは届かなかった。吹雪もさらに強まり、あきらめもついた。
下山途中の車の窓に奇麗な夕焼け空が広がった。ホッとするような光景だった。下界は一日穏やかで暖かい春の陽気だったそうだ。
雪雲の間から
2007年03月16日 - EOS KISS DN

上富良野町にて
昨日の写真はストックからで、昨日撮ったものではありません。もう雪が無くなったんだと思われた方がいらしたかも知れませんので、念のため。
東川はだいぶ雪が減りましたが、美瑛、富良野はまだまだ積もってます。そう遠くない距離なのですが、雲の入り方と、十勝岳にぶつかる地形上の条件から、雪の降り方が違うのでしょう。
今朝も上富良野あたりは霧が濃く掛かって、ところどころの木々に霧氷が着いていました。東川とは全く違う天候に驚かされます。
上の写真は、今日撮ったものです。富良野での仕事の帰り、全般的には晴れているのに低い雪雲が流れ、部分的に強い雪が降っている。そんな状況でした。
こんなときは雲を見ながら車を走らせ、良い場所と、良い空とのタイミングを合わせるのに懸命になります。
それが上手く行ったときの興奮。よし来たーっ。って感じです。
そして撮ったら次、次とどんどん場所を変えて行きます。はっきり言ってかなりせわしない。待つのは嫌いな性格なので、尚更でしょうが、感動は一瞬です。いい光、いい条件も一瞬ですから、それを逃さず撮ってあげることが大切だと考えています。
ここのところ、何となく気まぐれな雪の降り方。これも3月、春が近づいてきた証なのかも知れません。
天気予報によると明日の朝は、快晴で気温マイナス13℃。いい光景に出会えそうな予感がします。

移ろいゆく美瑛の四季の風景をイメージした「サンドピクチャー 沙寫(さしゃ)」の作品展が3/17(土)~4/15(日)、札幌丸井今井の札幌スタイルデザインギャラリーで行われます。
「サンドピクチャー 沙寫(さしゃ)」とは合わせた二枚のガラスの隙間に入っている水と砂が漂うように落ちながら、不思議な模様を描き出して行くものです。
作者は美瑛在住の村井隆之さんで、実家の農業を手伝いながら、自分が暮らす美瑛の丘の風景をモチーフに、作品を作っています。
ボクの交友関係の中では珍しく(!)、真面目な好青年です。先日でかくて重いプリンターの搬入を嫌な顔ひとつせず手伝ってくれた力持ちでもあります。(しゅうまいは旨かったと言ってました)
初めて見るのに、どこか懐かしい。そんな不思議な作品を体験して頂きたいと思います。
そんな彼の初の作品展に、ボクも美瑛のカラー写真を6点展示させてもらいます。上の写真はその1つ。「サンドピクチャー 沙寫(さしゃ)」のイメージです。
詳しくはhttp://web.city.sapporo.jp/sapporo-style/0703/sasya.htmlをご覧ください。
ホワイトデーには薔薇を
2007年03月14日 - 写真展情報

ホワイトデーには薔薇を。そう思い、慣れない花屋に立ち寄った。喜ぶ妻の顔を思い浮かべながら。
なんて訳はなく、写真撮影用に薔薇を買って来た。
ボクが所属する地元の写真愛好クラブ「東川フォトクラブ」の写真展「花のある風景」に合わせた撮影だ。正直あまり慣れない撮影だが、そこはグループ展の気楽さで、チャレンジ。印象的な写真にするため、薄暗い家の階段で撮影した。階下の窓から入る自然光を使っている。
3/24~4/1日、旭川西武百貨店の8階。A館とB館の連絡通路で展示します。
他のメンバーはおそらく野に咲く花を被写体にしてくると見込んで、撮り下ろしを含め、ボクは室内で撮影した花を3点セレクトした。いずれも今お気に入りのピクトランに出力し絵画調にしたカラー写真です。
お近くの方、見てやって下さい。
今週、来週にかけて、グループ展などで写真展示が3つ続きます。場所は旭川、札幌、東京です。詳細は追ってお知らせします。
静寂の動
2007年03月13日 - EOS KISS DN
ホワイトアウト
2007年03月12日 - EOS KISS DN

今日は撮影ガイドの日なのに、朝からあいにくの、いや住人からすると嫌~な吹雪。どこを見ても真っ白の完全冬景色で、道もよく分からない状態だった。
お客さんも今日はどうなります?と不安顔。
こんな時は降雪と着雪の様子を撮りましょう!木立をバックにすればローキーで雪の降る様子が撮れますし、背景に白っぽいのをもってくれば、ハイキーで幻想的な雪景色が撮れますから。と説得する。こちらも不安だが、何か一枚でも良い写真を撮って帰ってもらわないと。
最初、デジカメで撮ってモニター見せて差し上げると、先ほどの説明に納得された様子になり、目の色が変わっていくのがはっきりと分かった。こんな時にもデジカメは便利だ。
それからは山沿いを走りまわり、良さそうな場所を見つけては車を止め、雪まみれになりながら撮影に没頭した。
ヘッドライトとハザードを点けていても、車に追突されやしないか、それが気がかりなほどの降り方だった。
いつの間にか夕刻となり、無事終了。こんな雪の中、喜んで外に出て写真撮ってるのは尋常ではないが、雪はいい大人をも子供に返すのだろうか。

CONTAX645 D45mm FUJI RDP3 PROVIA
奇麗な星空を見ると、写真に撮りたいなと思うのだけど、寒くて暗い中の撮影を思うと、おっくうになってしまう。暖かい部屋で、温かいご飯を食べ、娘たちを風呂に入れてと日常のことを思うと、足が向かないのだ。これじゃ、いかんなと思うばかりで、今年も冬が過ぎようとしている。
この写真は先日の旭岳のスノーシューでの帰り道にて。
オリオン座、見えますか?
先日旭川でポジフィルムの現像が出来なくなる、さあ困ったという話をした。その声が届いたわけではないが、旭川のある写真屋さんを窓口に、札幌のフジカラーに毎日直送便が出ることになった。仕上がりの日数は中一日掛かってしまうが、現像料金もそのままで、送料も掛からないで済む。その写真屋さんまではウチからそう遠くない距離にあって、助かった。これでまあ、少し安心だ。
雪の村
2007年03月08日 - EOS KISS DN
足下にご用心
2007年03月07日 - EOS KISS DN

ついにウチのオフィスにEPSON PX-7500がやって来ました。A1ノビまで出力出来るマックスアートです。東京展をはじめ今後の活動、お仕事用に奮発しちゃいました。(検討中の方、最安値教えますよ)
それにしてもデカイ。A3ノビのPX-5500の5倍くらいの大きさでしょうか。
ご存知の通り(?)、ウチのオフィスはSOHO(スモールオフィスホームオフィス)ですから、我が家の押し入れ、一間がこの巨漢、いや巨艦のために開け放たれたのです。その体重は50キロオーバー。2階のオフィスまで入れてもらうのに、業者では2万取るというので、隣町のお友達にシュウマイ一箱でお願いして、必死の形相で引っ張り上げたのです。
でかさの割に、短辺60センチ(長辺方向にはロールペーパーを使えばいくらでも可)の出力ですから、残念ながらびっくりするほど迫力のある大きさに出せる訳ではありません。
しかも、単票紙(A4とかA3とかのカットペーパー)は連続供給ができず1枚づつしか入れられないハンドリングの悪さも気になります。(だからPX-5500は手放せない)
ではこの巨艦PX-7500のメリットは何かと言うと、インクカートリッジの容量にあります。1本220mlのインク、これが最安値で1本5.670円。PX-5500のインクは公表されていませんが15mlだと言われています。そして残り5mlの時点でインクがありませんとアラートが出ます。つまり10mlで1.100円前後です。ですのでPX-7500は20倍ほどの容量でお値段5倍程度。インク単価が1/4ということになるのです。これは嬉しい。なんせこれまでインクのランニングコストがシャレにならなかったし、使用済みカートリッジの山積み状態にも辟易していたのです。
とはいえ、デカカートリッジ、9色揃えると5マンエン!ですが・・・。
写真の下がPX-7500用インクカートリッジ(VHSテープ並みのサイズ)、上に乗っかってるのがPX-500用インク。
ドライバーはPX-5500と全く同様です。
しかし、買ってみて分かったメリットなのですが、PX-7500はマットブラックを使っても、印刷品質:スーパーフォト2.880dpiで出力出来るのです。
(追記)読者の方からご指摘が。PX-5500でもリア手差し、ベルベットかウルトラスムース選択でスーパーフォト2880dpiで出力できます。ウチのPX-5500はリア手差しでピクトラン入れると紙づまりのエラーが出るので、やったことがありませんでした。すみません訂正削除します。
実際出力してみると、比べるまでもなくスーパーフォト2.880dpiはワンランク上の印刷クオリティーです。
ピクトランに白黒出力した感じは、黒がさらに締まり、シャドー部の諧調がもっとリッチになりました。凄みの増した白黒写真が出せるのです。
いやあ、嬉しいなぁ!
昨日の旭川のラボ撤退残念無念の話と矛盾するようだけど、この際、デジタルラボを始めちゃおうかな?
A1ノビまで対応できます。ピクトラン(あまり流通していないロール紙あります)で出せます。その他アート系の用紙も揃えましょうか。なんならレタッチから引き受けましょう。パソコン苦手な方でも、アートペーパーに出してみたいでしょ。写真展やる方も、お力になれるかも。なんてことも考えたりして。
まあこんな田舎だし、やりますって言ったところで、どれだけ来てくれるか分かりませんが、デジタル出力、ご相談くらいは応じられますよ。
新宿のエプサイトでは大型プリンターを時間貸ししてくれたり、出力センターもいろいろあるけど、ポジフィルムの現像も出来ない田舎ってのは、ハードを自分で揃えなきゃならないんで、写真屋稼業も大変です。稼いで設備投資して、稼いで機材更新して。身近に聞ける人もいなけりゃ、何を買うにも現物も見れず、注文して届いてびっくりみたいな。
でも結局はノウハウは1から自分でやって掴むしかないのよね。

CONTAX645 Sonnar210mm Mutar FUJI RDP3 PROVIA
昨夜のテレビ番組で写真家蜷川実花の特集をやっていた。彼女の使ったいたカメラはCONTAX645だった。ミーハーなボクは単純に嬉しかった。「そのカメラ、俺も使ってるもんなー」と一人、茶の間でつぶやく。
それにしても最近、写真家の特集がテレビ、雑誌で相次いでいる。いいことだ。
やっぱりカメラはフィルムカメラやな。と心の中で密かに思いながらも、残念な知らせが届く。長らくお世話になってきた旭川のフジカラー系の現像所が3月で閉鎖されると言うのだ。これで2時間仕上げもしてもらえなくなる、集配もしてもらえなくなる。
て言うか、旭川でポジフィルムの現像できるところが無くなってしまうのだ。まかり間違っても北海道で第二の都市でですよ。
今後札幌もしくは東京まで送らないといけなくなる。日数も掛かるし、送料負担も痛い。単価を下げるためにまとめて送ることになるだろう。そうなるとまた日数が掛かってくる。
ポジフィルムで撮ることのハードルが高くなってしまった。あぁ、困った。
じゃあ、いっそデジタルカメラに総入れ替え、とはならないから悩ましい。デジタルはデジタルで、フィルムはフィルムなのだ。デジタルに切り替え慣れない場面、フィルムで納めたいシチュエーションがある。
蜷川実花も言ってた。「フィルムカメラは撮れば撮っただけ、お金が掛かる。だから一枚一枚緊張感があるんですよ」
売れっ子写真家の彼女ですらそうなんだけど、ぼくにとっても緊張感はこれでさらに上がってくるだろう。
そうなれば、デジタルカメラでの撮影スタンスとはますます差がついてくるだろう。
デジカメはムービーのような感覚で撮るのが正しいと思っている。
つまり連写して、流して撮って、あとから良いのをピックアップする。だから秒3コマのデジカメには購買意欲が湧かない。(かといって秒10コマってのも代わり映えのしないコマが連続して困る)
ムービーのように撮らなくても良い風景写真においては、デジカメの必然性も薄まる。
とりあえず撮っておけ、のデジカメより、写るか写らんかの真剣勝負のフィルムの方が、ボクが風景写真を撮るには合うように思う。フィルムで撮る緊張感。これをやめれるかっちゅうねん。
それにしてもポジフィルムの現像には困った・・・。

これまでのボクの人生は、父親の生き方を否定することで進んできた。ああいう風にならないようにと頑張ってきた。反面教師だった。
通夜の夜、叔父さんから意外なことを耳にした。
「そういえば兄ちゃんも写真好きだったなぁ。大学の時は写真部だったし」
何かショックだった。そのときだけ涙が溢れてきて、こぼれ落ちそうになるのをぐっとこらえた。
葬儀の前に、ボク達が住んでいたマンションの屋上に上がってみた。
ここに上がると、阪和線と関西線と近鉄線も見えた。電車好きの小学生は、家の引き出しに無造作に置いてあったコニカのカメラを持ち出して、屋上で写真を撮るようになった。新宮行きのディーゼル特急「くろしお」が最初の被写体だった。
それがボクのカメラマンとしての原点だ。
20年ぶりに屋上に立ってみても、マンションの陰になって何も見えなくなっていた。
遠くに通天閣だけは昔のまんまで立っていた。

父親の葬儀を終え、北海道に戻って来た。
優しくて経済力のある叔父と、明るい叔母たちのおかげで、喪主としての葬儀を済ませることができた。
弟、妹たちにとっても不甲斐ない兄だったに違いない。
家族を守るでもなく、仕事に打ち込むでもなく、大した欲もなく、ただぼんやりと、気の向くままに日々を過ごし、子供にも兄弟にも何も語らなかったかわりに、人の悪口を言うでもなかったせいか、「にいちゃん、にいちゃん」と涙を流してもらいながら逝ってった。
さんざん世話になって、礼を言うでもなく、葬儀費用も残さず逝った。それでも泣いてくれる人がいた。棺の中の顔は笑っているように見えた。
ボクは手を合わせながらも、安堵感とともに何とも言えない複雑な思いがしていた。
「ハッピーエンド」その言葉が何度も頭の中にこだました。
夜の帳3
2007年03月01日 - EOS KISS DN