野矢の森

20061022100136.jpg

中古で買ったこの家に越して来て丁度一年になる。去年の今頃のブログを読み返すと、リフォームに悪戦苦闘していた日々が思い起こされる。壁をはがして、粉を水で溶いたものをコテで塗り、床を引っぱがしてフローリングを貼った。嫁は若菜をおぶって脚立にのっかりペンキを塗っていた。
埃まみれになりながら、朝から晩までずっと「現場」に張り付いていた数週間だった。
そんな中、リビングの窓の先に見える紅葉が徐々に色づいて行くのを見るのが、楽しみになった。
そこはちょっとした広葉樹の林になっていて、まずは桜の葉が赤くなり、つづいてナナカマドが赤く、そして白樺が黄色になるころ、カエデが黄緑から赤へと変わって行くのだった。
工事の手を休め、その林に入ってみると、フワフワとした足の触感と、木漏れ日がとても気持ちよかった。今までに感じたことのないくらい、豊潤で優しい林に思えた。この近くに住めることを嬉しく思ったものだ。
そしてこの林は、ご近所の野矢さんというじいさんがこまめに管理していることを知る。
そこでこの広葉樹の林を「野矢の森」と密かに呼ぶことにした。森と呼ぶにはあまりにも小さいけれど、その方がしっくりくるので良しとした。

ノエルとの朝の散歩は野矢の森に来ることにしている。疲れて体調が優れない時には、野矢の森の大きな白樺の幹に手を当てて、それからポンポンとたたいてみたりしていた。なんとなく木の生命力をもらえるような気になれた。
今年も紅葉の季節がやってきた。順々に色づいては、葉を落として行く。今年は風の強い日が何度かあって、葉の落ちるのがなおさら早い。一年のうちで最も華やかな時期が、あっけなく、本当にあっけなく過ぎて行ってしまう。
それでも足下には、飛ばされた種があたらしい芽になり、葉を開き、驚くような色彩で秋を迎えているのを知ると、時は一瞬でありながら、連続していくものなのだということに気づく。
僕らはどうやら時の大きな潮流のなかで、生かされているらしい。
09:59 | 野矢の森 | comments (6) | trackbacks (1) | page top↑