石炭の匂いを嗅ぎながら
2009年08月14日 - RICOH R10

キャンプに三笠を選んだのはもうひとつの理由から。
それは「三笠鉄道記念館」に子供と一緒に行きたかったのだ。
こんな山あいの場所にかつて鉄道が走っていた。それも北海道で一番最初にレールが引かれたのだ。と聞いても、誰もが信じられないだろう。
かつてここには炭鉱があった。
北海道で最初の鉄道「幌内鉄道」は、ここ幌内駅から石炭を小樽の手宮駅まで運ぶために引かれた。明治15年のことだ。
のちに鉄道は国有化され、「幌内線」へと変わる。
良質な石炭は、小樽や苫小牧、室蘭などからどんどん運び出され、日本の発展を下支えしてきた。
それがエネルギー革命により、空知地方の石炭産業が斜陽化すると、人々もこの場所を離れ、幌内線の存在意義がなくなっていく。
そしてJR移行後すぐの昭和62年に廃止となり105年の歴史に幕を下ろす。
今、その幌内線のレール跡を、動体保存されているSLが走る。
わずか数百メートルの往復だけど、石炭の匂いを嗅ぎながらトロッコ列車に乗ることができる。目に入る粉塵が、痛いのに、嬉しい。
娘は、蒸気を吐き出しながら出発準備をするSLを、「怖い」と言って近づこうとしなかった。
親父の目論見は煙とともに消え去った。

11月頃の北海道新聞で紹介されてた一枚の絵、「あと一時間・・・」(松本早苗)が気になっていて、その絵が飾られている「フロンティア展」を見に帯広の道立帯広美術館まで足を運んだ。
一枚の絵を見に行きたいという衝動は初めてかも知れない。
帯広まではJRの快速「狩勝」で片道3時間。といってもディーゼルの一両編成。普段富良野線を走ってる普通列車を延長して走らせているだけの味気ない道中。
それでも文庫本読んだり、うつらうつらしたり、ぼーっとしたり、考えようによっては贅沢な時間を過ごす。
帯広に着いてネットで調べた店に行き、ちっとも旨くない名物「豚丼」とそばのセットを喰らい、バスに乗り継ぎ美術館へと向かった。
道東にゆかりのある作家で構成された「フロンティア展」では絵画の他に、版画や、立体物などが展示されてあったが、ひとつひとつの作品の存在感に圧倒された。
それに比べて写真ってどうも、物としての存在感に劣るように思えてならない。
2次元の表現なので致し方ない面もあるが、印画紙あるいはインクジェット用紙のテクスチャー、マット、フレーム。大きさ、厚み、材質。もっとこだわらなきゃいけないなと思う。(とは言え、こだわった分お金も掛かることなので容易ではないが)
ディスプレイで見るのが主流となりつつある中で、なおさら一枚の写真の存在感を出したいなと思うのだ。
最近旅心がついてきて、ついに札幌発青森行きの夜行急行「はまなす」の指定券を確保。「みちのくフリー切符」旭川発6日間乗り放題23,000円!で「みちのくひとり旅」と洒落込んで来ます。出発はもうちょっと先。ただいま連れ合いとなるカメラのセレクト中。こういう時間も旅の愉しみのひとつ。
上の画像はRICOH R10。帰りの汽車まで日の暮れかかる帯広の町を散策。凍結路に何度も転びそうになりながらのスリルあるスナップ。

今朝はウチの庭にも初霜が降りてました。
ということは氷点下?
日中はぽかぽかしてるのに、秋が深まって、いや冬が近づいてきていることを実感。
HDの中の画像を見てみたら、去年の初雪は10月13日でした。
その日のブログはこちら。
今年はまだ気配がないけど、油断なりません。